NATURE TECHNI COLOUR
大陸や島の沿岸域を好み、全海域に生息していると考えられる。季節によって餌場と繁殖場の2つの海域を移動する。小笠原と沖縄は、西部北太平洋繁殖海域と呼ばれる重要な繁殖場。12月頃から5月上旬頃に、聟島列島、父島列島、母島列島、火山列島周辺の海域で見られ、オスの求愛行動や親子に出会うこともある。繁殖期にオスが発する抑揚のある声にはザトウクジラの歌「ソング」として知られる。
小笠原では主に聟島列島から母島列島にかけての島の沿岸域に定住している。その他、小笠原にはハシナガイルカが定住し生息域が重なるところがあるが、ミナミハンドウイルカはハシナガイルカに比べ模様が不鮮明で口が短く太い。小笠原では単独から数十頭で行動する姿が見られ、船や人に慣れている個体もいるため、イルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムの対象になっている。
小笠原に日本人が入植する以前、1830年ごろから欧米系移民に食用とされてきた歴史がある。現在も郷土料理として親しまれているが、保護のために年間の捕獲量は135頭で認可のもとに行われる。1910年からは、捕獲を行いながら保全活動にも力を入れている。また小笠原は、アオウミガメの日本最大の繁殖地として知られる。一定規模の産卵地としては北太平洋の北限にあたり、繁殖のために貴重な場所となっている。
小笠原では6種のオカヤドカリ科の生物を見ることができるが、最も一般的なのがムラサキオカヤドカリ。名前の通り、大型の個体は全体に鮮やかな紫色になる。季節を問わず見られるものの、昼間は海岸近くの林や岩場の物陰に潜んでおり、姿を現すのは夜になってから。日没後、懐中電灯を片手に探すと見つけられる。日本に生息するオカヤドカリは全てが天然記念物。
小笠原諸島で唯一の固有の哺乳類で、国の天然記念物に指定されている。夜行性で、日中は森林の樹木で休息するのが一般的だが、北硫黄島や南硫黄島では昼間の飛行や採食が確認されている。冬期はコロニーを形成し、集団で行動する。開発による森林の減少、観光などによる休息地の攪乱などのほか、農作物の防鳥ネットに絡まってしまう事故が相次いで起こり、生息数は減っているが、共生のための取り組みが行われている。
国の特別天然記念物で、和名は陸上での動きが鈍く、簡単に捕獲できたことが由来という。近年は伊豆諸島の鳥島(伊豆鳥島)、尖閣諸島の北小島、南小島のみで繁殖が確認されているが、明治時代の乱獲で激減する以前は、小笠原諸島、大東諸島、台湾島の西方約50kmの澎湖諸島などでも広く繁殖していた。現在の主な繁殖地である鳥島が火山島であることなどから、最近は小笠原諸島の聟島でも、繁殖の試みが人の手によって行われている。
小笠原諸島固有種で、学名がつけられる基準となった基亜種のムコジマメグロと別亜種のハハジマメグロがいる。しかし、聟島列島に分布していたムコジマメグロは絶滅したと考えられているため、現在、メグロと言えば一般的にはハハジマメグロを指す。国の特別天然記念物で、3つの島に分かれて生息しているが、最近の研究では島と島を行き来することはなく、くちばしの形状などが各島で独自に進化している可能性があり、それぞれの個体群の保護が問われている。
発売日:2017年2月中旬 原型制作:KOWkowmark、木村和未 企画総指揮:佐藤純也
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