NATURE OF JAPAN
古代から日本各地で飼われてきた日本犬の代表。「柴(しば)」は「小さいもの」の意味ともいわれる。体毛には赤、黒、胡麻、白があり、表面の固い毛の下には柔らかい下毛が生えていて、寒い冬でも平気だ。小型犬ながらがっちりした体つきで、小さめの三角形の耳がピンと立っている。 飼い主によくなつくことからペットとして、また勇敢ですばやい動きから狩猟犬としても愛されてきた。国内で飼われる日本犬の80%がシバイヌで、海外でも人気がある。 長野の信州柴、岐阜の美濃柴、山陰地方の山陰柴の3種をもとに、1936年に国の天然記念物に指定されている。 なお「豆柴」はふつう小型のシバイヌを交配させたもので、犬種ではない。
「ニッポニア・ニッポン」という学名は江戸時代末期に日本にやってきたドイツ人の博物学者・シーボルトがオランダに送った日本のトキの標本によるもの。 かつては東アジア一帯に分布していて、江戸時代までは北海道から九州まで日本各地で見ることができたが、美しい羽を目当てに殺されたり、生息地が少なくなったりして、明治時代には急速に姿を消していった。 1952年には国の特別天然記念 物に指定され、保護政策や人工繁殖も行われたが、努力もむなしく2003年に日本産のトキは絶滅してしまった。 現在は佐渡トキ保護センターで中国産トキの人工繁殖に成功し、野生への復帰がすすめられている。
日本全国に分布する大型の甲虫(北海道は人間によって移入)。1年ほどの寿命のうち約10か月を幼虫として地中で過ごし、夏になると羽化をして成虫になる。成虫は、昼間は落ち葉の下などで休んでいるが、夜になると飛び立ち、エサになる樹液が出ているクヌギやコナラの木に集まってくる。 オスは樹液やメスをめぐって争うことがあるが、その戦い方はいたってシンプルで、頭部の大きな角を敵の体の下にさしこんで一気に投げとばす。 夜は明るいところにも集まる習性があるので、外灯のちかくなどを探してみよう。昼間でも樹液の出る木にはとまっていることがある。
北海道から屋久島までの広い地域で見られるカエル。雨が降ったり、雨が近づいたりすると、気圧の変化を感じ取って鳴く。これを「雨鳴き」と呼び、和名の由来にもなっている。鳴くときには、のどにある袋状の鳴のうを膨らませて共鳴させることで体に似合わない大きな音を出す。 小さくてかわいらしい姿をしているため、カエルのなかでも人気があるが、皮ふに弱い毒を持っているので、さわった後は、よく手を洗おう。さわった手を洗わずに、目をこすったりしないこと。
北海道から九州にかけて見られるなじみ深いトカゲ。成体と幼体では色がちがっていて、幼体はしっぽが青く、体は黒っぽい。そこに金色のラインが走っていて、派手な見た目をしている。この模様はメスのほうが成体になっても消えにくい。どうして体の色がちがうのか理由はよくわかっていない。 ニホントカゲは敵に追いかけられたときに尾を切り離す「自切」をするトカゲで、切り離した尾はしばらくの間、勝手にくねくねと動いている。敵がその尾に見とれている間に逃げるのだが、自切は成体より幼体のほうがよく行う。しなやかでむちのような青い尾は、幼体の生存率を上げるために、進化の過程で身につけた工夫なのかもしれない。
沖縄県八重山諸島の石垣島と西表島だけにいるカメで、あしや頭を引っこめたとき、すきまなく箱状になることが「箱ガメ」という名の由来。ふだんは水をはなれてくらしていて、おそわれても水中に逃げられないことが、このような甲羅になった理由とも考えられる。同一種のセマルハコガメ自体は中国大陸や台湾にもいて、それぞれタイリクセマルハコガメ、タイワンセマルハコガメと呼ばれる。 日本のものは国の天然記念物に指定されていて、売買はもちろん、触れるのもダメ。ペットショップにいるのは姿はそっくりでも、日本以外のカメなのだ。
本州から九州にかけて広く分布しているカニ。 山の方の渓流などで、水が澄んでいて水底まできれいに見通せるような場所にすんでいる。 ふつうカニのなかまは、淡水にすんでいても産卵のときには海に行く。ところがサワガニだけは唯一海には行かず、一生をずっと淡水ですごすというめずらしい生態をもっている。 産卵時期は梅雨時から秋で、オスとメスは向かい合って交尾を行う。産まれてくる卵はカニとしては巨大で、直径は3~3.4mm。産卵したメスは30~70個の卵をおなかに抱えると石の下などにかくれて、子どもが育ってふ化するまでじっとしている。
本州から九州にかけての沿岸にすむ小型のウミウシで、北海道での観察例も報告されている。ウミウシは貝殻こそ失っているが巻貝のなかま。鮮やかな濃いブルーの体の背面は黄色く縁取られ、頭部に生えた2本の触角からえらの前まで黄色の縦線が入る。また、背面や腹足には、黄色の線や斑点、黒色の斑点などが不規則に並ぶが、個体により模様はちがう。 夏になると、白いリボンのような卵塊(らんかい)をうずまき状にして岩場などに産む。生まれたての子どもには貝殻があるが、プランクトンとして海の中を漂い成長するうちに、貝殻を脱ぎ捨てていく。
全長:80~120㎝ 体重:最大で約20㎏ 生息環境:琵琶湖とその流出河川 主食:アユ、フナなど魚類
沿岸部の岩礁などにすむ、海でも食卓でもなじみの深いタコ。軟体動物の代表で、体の形や色を自由に変える海の忍者。なわばりをもち、ふだんは岩のすきまなどの巣穴にぐにゃぐにゃの体をうまく潜りこませて隠れている。体色は赤っぽいが、危険がせまると皮ふの色素細胞ですばやく色や状態を変化させ、敵の目をあざむきながら逃げてゆく。 夜になると海底をクネクネとはい回り、カニやエビなどの固いエサも8本の腕でがっちりと押さえこんで、腕のつけねにある鋭いくちばしでかみ砕いて食べてしまう。 メスは5~9月に巣穴の天井に「海藤花(かいとうげ)」と呼ばれる房状の卵を産みつけ、4週間ほどエサも食べずに卵を守り、ふ化を見届けたあとに死んでゆく。
日本に生息する生き物の美しさを丁寧に表現した本格フィギュアNature of japanシリーズ第2弾!身近な生き物から天然記念物まで、バラエティ豊かにラインナップ!それぞれの生き物たちのありのままの魅力を最大限に引き出せるようポージングや細やかな造形、彩色にまでこだわりました!
原型制作:KOW、吉敷麻里亜、田辺高憲、平田隆行、木村和未企画総指揮:佐藤純也
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